ヤーコンとは
名称 学名:Smallanthus sonchifolius (Polymnia sonchifoliaあるいはP.edulisと呼ばれたこともあった)
英語名:Yacon
スペイン語名:Yacon
和名:ヤーコン
原産地 南アメリカ大陸アンデス高地
日本への導入の歴史
  • 1984年 ペルー由来の系統(ペルーA系統)をニュージーランドから種苗会社が導入
  • 1987年 茨城大学農学部附属農場において栽培試験開始
  • 1991年 茨城大学農学部と新潟大学農学部の共同研究によって塊根に多量のフラクトオリゴ糖が含まれることが明らかにされる
  • 1990年代 葉を利用してヤーコン茶が開発される
  • 1991年 農林水産省四国農業試験場がボリビアから2系統を導入
  • 1992年 農水省四国農試がペルーの国際バレイショセンターから3系統を導入
  • 1995年 農水省四国農試がエクアドルから10系統を導入
  • 1998年 ヤーコン研究会発足
  • 1998年 農水省「新需要創出のための生物機能の開発・利用技術の開発に関する総合研究」の成果として、「ヤーコン料理集」が出版される
分類等 キク科スマランサス属、染色体数2n=58(一部に2n=87のものも存在する)
植物学的記載 植物体
ヤーコンは多年生の草本で,高さは1〜2.5メートルになる。種子や挿し芽苗から育てると最初は1本の茎からなり,分枝が生じる。塊茎から育てた場合には,数本の茎立ちが生じる。茎は円筒状で毛があり,骨ばっていて緑色ないしは黄色を呈する。

塊根
塊根はサツマイモの塊根とよく似た大きさと形状を示す。品種,栽培条件により変動するが、1個の塊根は50〜1,000gの範囲にあり,大部分は300〜600gの範囲に入る。1株に着く塊根の重さは2〜5s,多いときは6sである。

塊茎
地下にあって根に接している茎の部分が肥大して、多くの栄養芽を着けた塊茎が形成され、栄養繁殖器官(種いも)として利用される。


葉は節ごとに対生し,交互に直角を成している。葉身は三角形、矢尻形,ないしはハート形で、長さは40pから50pに達するものもある。開花までにそれぞれの茎は20〜23対の葉を分化し,開花後は小さな葉だけが分化する。

花序
花枝は最後の分枝であり,頭状花と呼ばれる花序が着く。原産地のペルーではそれぞれの花枝には20〜40の頭状花が着生し,1個体では20〜800の頭状花が着くが、日本では開花が晩秋となるため、花数は少ない。個々の頭状花は雌花と雄花によって構成されている。雌花は外側に輪生し,黄色の舌状花である。雄花は筒状でより小さく,花托の内側に輪生している。総苞は釣鐘型の半球形で,総苞の苞葉(5〜6)は花托を1層で取り囲んでいる。それぞれの頭状花には,14〜16の雌花と80〜90の雄花が着き、雌花は雄花より早く開き,早くしぼむ。

雌花
雌花の花冠は5枚の花弁からなる合弁花冠で、このうち3枚の花弁が舌状花を形成し,他の2枚の花弁は退化している。雌しべ(花柱)を取り囲んで,その基部の子房の上に冠毛が付着している。舌状花は11〜14mmで、その形はヤーコンの生殖質を判別する形質として用いられる。花柱の上部は2つに分かれて柱頭となっている。子房は紡錘形ないしは円錐形で,紫色を呈する。

雄花
雄花は周辺から始まって内側へと開花する。花冠は融合した5枚の花弁からなる合弁花で,5角形の筒を形成し,外面には密な毛がある。5本の雄しべがあり、開葯に際しては花冠から黄色の花糸が抽出する。花粉粒は球形でとげがあり,つやのある黄色で,粘着力があり,直径は20〜30ミクロンである。

果実(種子)
果実は痩果で,複数の心皮を持つ子房から発生する。痩果は丸みがかったピラミッド型で、平均すると長さは3.7ミリ,幅は2ミリ程度,100粒重は0.6〜1.2gである。種子は無胚乳で,すべての貯蔵物質は子葉に存在する。日本の自然条件では,果実(種子)はほとんど得られない。
ヤーコンの特徴
1. 作物として(「栽培方法」の項参照)

 ヤーコンは南米アンデス地帯の原産で、先住民によって紀元前から利用されてきた。適応性が広く、粗放な栽培にも耐えて、作りやすい作物である。1株から3〜6sの塊根(いも)が収穫できるので、家庭菜園で数株植えつければ、自家消費をまかなうことができる。収穫物としては、塊根(いも)と葉が利用される。1984年に日本に導入され,健康野菜としてのさまざまな機能をもつことがが解明された。

2. 利用部位とその特徴(「利用方法」および「健康への効果」の項参照)

(1) 塊根(いも)
  1. 糖質の大部分はフラクトオリゴ糖で,デンプンはほとんど含まれていない。このフラクトオリゴ糖含量は,これまで知られている作物の中で最も高い。
  2. 可溶性の食物繊維が多く含まれている。
  3. フラクトオリゴ糖は,難消化性で腸内菌叢や脂質改善の効果を持つことで知られている。したがって,食物としてはダイエット効果があり,食物繊維とあいまって便秘を改善し,さらに血液や血行を正常に保つことが期待される。
  4. ポリフェノール含量が高く,抗酸化作用があることが証明されていて,発ガン予防の効果も期待されている。
  5. 他のいも類と同様に,カリウム含量が高く,高血圧対策としての役割が期待される。

(2)葉
  1. 強い抗酸化作用を示す物質が含まれている。
  2. 熱湯抽出液は食後血中糖度の上昇を抑える作用があり,インシュリン様の効果を示す。
  3. 熱湯抽出液には,ウーロン茶と併用することで体脂肪と体重の増加を抑える効果があることが,動物実験で示されている。
  4. ヤーコン茶は,体重・体脂肪の減少,糖尿病やガンの予防の効果が期待されている。ヤーコン茶の服用で,便秘を解消したという人もいる。
日本における栽培概況 北は北海道から南は沖縄まで幅広く栽培されている。
正確な栽培面積については,調べられていない。