ごあいさつ

ヤーコン研究会会長

茨城大学名誉教授  丹羽 勝

「ヤーコン」という名前は,日本で広く知られ,たくさんの方々が関心を示されるようになりました。そしていまや,世界の多くの国々にも,その栽培や研究が広がっています。ヤーコンは紀元前から,今のペルーからポリビアにかけての,亜熱帯のアンデス高地を中心に栽培されていました。しかし,20世紀の終わりまで,その存在はほとんど知られていませんでした。
1984年に,ニュージーランド経由でヤーコンの一系統が日本に持ち込まれ,1987年に,茨城大学農学部の農場で試験栽培が行われました。そして,1991年,新潟大学と茨城大学の研究者の共同研究で,ヤーコンの芋にはデンプンが全く含まれず,フルクトオリゴ糖の含量がそれまで知られていた作物の中でもっとも高いことが分かり,にわかに注目を浴びました。芋の調理法や加工技術が開発され,すばらしい食材であることもわかってきました。ヤーコンの葉から作ったお茶にも,健康促進効果があることがわかりました。ヤーコンの栽培は,北海道から沖縄まで日本の各地に広がり,2000年には農水省四国農業試験場で,世界はじめての人工交配によるヤーコンの品種が誕生しました。このような日本での研究開発によって,ヤーコンは,生まれ故郷のアンデスで再評価されて急速に栽培が広がり,世界各国で注目されるようになったのです。「ヤーコン研究会」は,ヤーコンに関心をもつ研究者・生産者・加工業者・消費者によって1998年に組織され,会員相互の交流を深め,さまざまな情報を交換することを通して,日本におけるヤーコンの正しい普及を図ってきました。そして,原産地ペルーの研究者や生産者との交流も行ってきました。 
私たちは,アンデス生まれで日本に定着した野菜としてはトマト以来であるヤーコンが,多くの方々に正しく理解され,利用していただくことを願っています。
このホームページは,研究会が集約しているヤーコンについての知識や情報を皆さんに提供するとともに,皆さんからもヤーコンについてのさまざまな情報・提案・コメントをいただく場です。どうか,ゆっくりとページをご覧ください。